Q:我が社を退職する従業員による秘密情報の持出しを防ぐにはどのような対策を採ればよいでしょうか。また、同業他社で働いていた者を中途採用する場合、秘密情報について気を付けるべき点を教えてください。
A:(1)まず、退職する従業員による情報の持出しはありがちな事例です。他社に情報を売りたいという動機の他、退職者からすれば、転職先でも使えそうな情報は持ち出して転職先でも利用したいという動機も考えられます。いずれにしても、企業による情報管理という点では許されない行為です。
このような情報の持出しを防ぐために書面上やるべきことは、退職者に、退職時に、秘密保持義務及び競業避止義務を定めた誓約書に署名捺印させることが大切になります。競業避止義務というのは、競業他社への転職や同業種での独立を一定の期間、一定の地域で禁止する義務で、これにより同じ商圏で同業種への転職や独立を防ぐ効果があり、情報持出しのインセンティブがなくなります。また、誓約書への署名捺印は、予めパソコンで打ち込んだ活字ではなく、本人に自署させてください。後で「自分は承諾した覚えはなく印鑑は会社が勝手についた。」と言い訳させないためです。
それから、退職者が実際に取り扱ったデータは、パソコン内のデータを含めて、全て物理的にも返還・廃棄させるべきです。
(2)次に同業他社で働いていた者を中途採用する場合も、前職の企業での企業秘密に注意する必要があります。これは、退職者が出た場合の話と裏返しの話です。例えば、中途採用者が前職で取り扱った他社の企業秘密を不正に持出し御社で使用してしまった場合、前職の企業としてはその事態を放置する訳にはいきません。転職者が使用している情報が不正取得したものであることを御社が知っていようがいまいが、企業秘密が不正に流出したことには変わりはなく、前職の企業から当該情報の差止めや損害賠償請求がされるおそれがあるので注意が必要です。
このような事態を防ぐため、他社から転職してくる従業員については、採用前の面接において、前勤務先の営業秘密を侵害しないよう、前職での担当業務、守秘義務の具体的内容、競業避止義務の有無を確認し、入社後にはむやみやたらに他社の秘密情報を開示してはならない旨十分理解してもらい、その旨を確認する誓約書を提出してもらうとよいでしょう。そして、競業避止義務を負っていたら、入社自体がダメな場合もありますので注意が必要です。
