最近は、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどのように従来からいわれてきたものの他に、マタニティハラスメントやアルコールハラスメントなどハラスメントの類型が異様に増えてきているように思います。それだけ社会でのストレスが増大していたり、これまで我慢していたことを言える社会環境に変わってきたことの裏返しのように思います。
さて、今回は「最近のパワハラ事情」ということで、最近のパワハラの若干の変化についてお話しさせていただきます。
パワーハラスメントというのは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務上の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。ポイントは、①職場内の優位性と、②業務上の適正な範囲を超えているかという点です。
この①の職場内の優位性という点について、一般的には上司から部下、先輩から後輩という組織上の上下関係を連想しがちです。しかし、最近の事例をみていると、必ずしも組織上の上下関係に限らないところでパワハラが起きているようです。
例えば、ITや決算業務といった特定分野における知識の優位性を背景としたものです。パソコンやインターネットに詳しい部下が、これらの扱いに慣れていない上司に対し、ばかにする発言をする場合であるとか、経理を担当する社員が、決算業務に疎い経営者を批判し、会計資料を開示しないなどといった事例です。特に、パソコン関連では、これらに詳しい若手社員との間で何とも言えない空気を体験された管理職の方は多いのではないでしょうか。
さらに、数の優位性を背景としたものもあります。例えば、複数の部下が結託し、上司だけを仲間外れにして飲み会を堂々と行うといった事例です。
要は、これまでは仮に内心思っていたとしても実際の行動に移さなかったり態度に現さなかったようなことが現実のものとして起こっており、ハラスメントの類型が多様になってきたのと同様に、パワーハラスメントの中身としてもこれまでなかったものが加えられているということです。時代・社会環境の移り変わりは、私たちが考える以上に速いということも言えると思います。
