全国倒産処理弁護士ネットワーク第10回全国大会@沖縄に出席しました

11月26日は、全国倒産処理弁護士ネットワーク全国大会に出席のため、沖縄に出張しました。
全国倒産処理弁護士ネットワークは、倒産事件や倒産法制について弁護士相互の情報交換や研鑽のため設立された任意団体で、主な活動は、メーリングリストを利用した倒産事件の処理に関する質問や相談、倒産関連の書籍の執筆、各種研修会などで、私は弁護士登録してすぐの頃からネットワークに登録しております。

 今回は、第10回全国大会が沖縄で開催されるとのことで出席してまいりました。全国大会は、第7回の広島大会以来2回目の出席です。

 さて、「松江から沖縄ってどうやって行くんだ?」という感じです。もちろん飛行機ですが、東京、大阪、福岡からだと飛行機の乗り継ぎで行けますが、乗り継ぎなしで行けるのはどこかと調べたところ、岡山空港から比較的、時間帯的にもいい便がありました。
 私は、全国大会当日の朝松江を出て岡山空港まで運転しました。
米子道は江府インターあたりで氷点下2℃となっており、蒜山SAから見える大山はこの通りホワイトリゾートの準備バッチリという感じでした。

111126_0747

さて、岡山空港から飛行機に乗り、私の人生で初めての沖縄に到着です。
間もなくホワイトリゾートを迎えようとする大山とうって変わり、沖縄は暖かかったです。半袖で十分でした。

111126_1202

空港の荷物受取口では、この通り、「いらっしゃいませ」と歓迎して下さりました。
お昼前でしたので、早速沖縄料理で腹ごしらえということで、空港の中の沖縄そばの店に入りました。

111126_1212

 これは沖縄名物のソーキそばです。肋骨をじっくり煮込んで、非常に柔らかくなっているお肉が乗っています。お肉がとても美味しいし、お肉のダシが溶け込んだスープもこれまた最高でした。ただ、麺はいわゆる「蕎麦」というよりも、小麦粉をたくさん使用していてラーメンに近かったです。

お昼を済ませて、タクシーに乗り、全国大会の会場となりました「かしゆりアーバンリゾート那覇」に向かいました。
運転手さんによると、「かしゆり」というのは、沖縄の方言で「めでたい」という意味だそうです。私は、タクシーを降りる時に「だんだん」と言ってご挨拶をしました。

 さて、全国大会の方ですが、総会が終了後、午後1時から「倒産と相殺」という題名でシンポジウムが開催されました。
 まずは、那覇地方裁判所の民事部総括判事による、「沖縄における倒産事件の処理状況」についてのお話がありました。那覇地裁では、平成15年頃に最高だった破産申立件数(平成15年で約2500件)は、平成22年では、約1000件と半分以下に減少しておりました。これは全国的な傾向とほぼ同じですね。他方、法人の民事再生の申立件数は、年間僅か数件で推移しており、全国の地方都市とほぼ同じような傾向を示しているようです。松江地裁でも法人の民事再生申立は年間数える程だと思います。民事再生となると、世間にその内容が明らかにされてしまうので、やはり地方都市では申立がしにくいようです。
裁判所を通さずに、取引債権は通常通り支払い、金融債権者とだけ交渉する私的整理の方が地方ではなじみやすいように思います。私自身も、法的再建よりも私的整理の方が関与させていただく機会が多いです。おそらく都会でもその傾向はあると思われます。

 続いて、一橋大学大学院の水元宏典教授による、「倒産法による相殺規定の構造と立法論的課題」という演題の基調講演でした。ドイツやフランスの倒産法における相殺規定の比較に始まり、我が国における立法論の課題まで、非常にハイレベルな内容でした。今後の勉強のためにレジュメはしっかりとっておこうと思います。 そしてメインイベントは「倒産と相殺」についてのパネルディスカッションでした。
パネリストは、東京地裁と大阪地裁の倒産部の部総括判事の方や、大学教授、都市銀行の方、弁護士の5名でした。

相殺についてのアカデミックな議論や、破産債権者による相殺が認められるかについて実際に訴訟になった事例を題材に、それぞれの裁判例の結論や理由付けの差異、裁判例の結論の当否など、非常にアカデミックでハイレベルな議論が繰り広げられ、私は、破産法の条文を見ながらついていくに必死でした。

破産事件で相殺がなされる事例としては、破産者が債権者である銀行に預金口座を持っている時に、銀行が、破産者に対する貸金債権と、破産者の預金債権とを相殺することがよくありますが、今回は、たとえば、
①投資信託を販売した銀行は、その有する貸金債権と、破産手続開始後の投資信託の解約金返還債務を相殺できるのか。

②約束手形の取立委任を受けた銀行は、その有する貸付債権と、破産手続開始後に取立した手形金の返還債務を相殺することができるのか。

などの事例が検討されました。

破産管財人をしていると、破産債権者との間で、相殺の可否をめぐって争いになることはよくあります。シンポジウム中は理解の追い付かないことばかりでしたが、業務上実際に問題になった時に、今回の議論を参考にしながら取り組めば心強いと思いました。
今回の全国大会は、非常にアカデミックで法律論的にレベルの高い話でした。たまには、こういう議論に触れて勉強することは大切だと感じました。

111127_1520

今回の沖縄出張では、平和祈念公園や、ひめゆりの塔とひめゆり資料館も見学してきました。
戦没者の方々に謹んで哀悼の意を表します。また、世界平和を切に願うばかりです。

ひめゆり資料館では、戦没者の方々の無念や、戦争の悲惨さなどが痛いほど伝わってきました。

また、当時の日本人は、「お国のため、天皇陛下のため」と思って戦争に臨んでおられました。国家がそのような教育をしたことと同時に、日本人の素直さも相俟って、軍国主義へと突き進んで行ったのでしょう。
 これは、企業経営にも相通じるものを感じます。会社は、経営理念に基づき、社員一同が一つになって社業に取り組んでいくのですが、仮にその経営理念が、危ういもの(「間違っている」とまではいいにくいですが、どう表現したらよいものか…)だった場合、会社はどうなるのでしょうか。考えただけで、ゾッとします。
 私も、法律事務所という一つの事業所を経営する経営者として、経営理念とその内容の大切さを感じました。

ちなみに、当事務所の経営理念は、
「公平で公正な社会の実現に貢献し、事務所構成員全員の物心両面の幸福を実現する」です。

また、行動規範は、
①法にのっとり倫理観を持った公平で公正な処理をする。
②「人間として正しい選択か」を判断基準にする。
③困っている人や企業の力になる。
④社会のためになる活動をする。
です。

全国倒産処理弁護士ネットワーク第10回全国大会@沖縄に出席しました