保証債務の整理

保証人の印鑑をついてしまったばかりに、人生が狂わされたというお話は後を絶ちません。

保証債務の特徴として、忘れた頃の突然請求がくる、支払えないレベルの金額の請求がくるということが挙げられます。忘れた頃の突然の請求なので、何らかの対策をする時間的余裕がなく、金額が莫大な額になることが多いことから、今ある財産を全て差し出し切っても払いきれないことになります。解決方法としては、(1)債権者と交渉して、自分が支払える範囲の金額を自分が死ぬまで払い続ける、あるいは(2)自己破産することが考えられます。しかし、保証債務は自分が作った借金ではないことから、自己破産することに抵抗をおぼえる方が多いのも事実です。

そこで考えられる第3の解決方法としては、(3)債権者と交渉して保証債務を免除してもらうことです。

例えば、

  1. 他人が経営している会社を自分が引き継ぎ、自分が代表になる以前から発生していた借金の保証人になったが、会社が倒産した。自分が代表になる以前の保証債務について免除して欲しい。
  2. 他人が経営している会社の保証人になったが、その会社が倒産した。他方で自分は自ら会社を経営しており、破産する訳にはいかない。財産をある程度差し出すので、自己破産せず、残りの保証債務を免除して欲しい。
  3. 自分が保証人になっている会社が倒産した。自分は事故に遭い障害年金をもらいながら生活している。他方、自己破産した場合は、事故により支給を受けた保険金を全て取り上げられる。自分の将来の生活費を残さないと生きていけなくなるので、自己破産せずに、受領した保険金をいくらか残しつつ、その余の財産を差し出した残金を免除して欲しい。
  4. 父親が多額の借金を背負いながら死亡した。父親の借金の存在を認識しつつ、経営する会社の株式を引き継ぐなどの理由から相続放棄をすることを躊躇しつつ、相続放棄申述期間の3か月を経過してしまったので、今更相続放棄も出来ない。自分にはさほど財産はないが、自己破産できない事情もあるので、債権者にいくらか財産を差し出した上で、保証債務を免除して欲しい。
  5. 自分の息子が経営している会社の保証人になっていたが会社が倒産した。自分には、多額の投資をして所有している賃貸アパートがある。アパートはオーバーローンであるが、賃料収入も一定程度見込めるので、自己破産せずに、何とか保証債務を免れることが出来ないのか。
  6. というような事例において、自己破産せず、保証債務を免除してもらうことが考えられます。債権者は各県の信用保証協会であることが多いと思われます。

    但し、このような保証債務を免除してもらう交渉をするには、自分の保有している財産を債権者に対して基本的に全て公開することが必要になります。その上で、いくらの財産を差し出せば、保証人の利益に配慮しながら、経済合理性と社会的な公正さと公平性を守ることができるのかを検討することになります。

    本来であれば自己破産すればよいところを、わざわざ債務免除の交渉をするのですから、債権者との交渉は難航することが多く、我々代理人と同じように、債務者の方々には辛抱強さなどの精神的なタフさが要求されます。また、通常の破産と違って、代理人を務める我々弁護士にとっても時間や手間がかかりますので、弁護士費用も破産の場合よりも高くなります。保証債務免除交渉にはそれだけの覚悟が必要だということは認識して下さい。

    当事務所は、保証債務免除の交渉について、島根県内随一の実績を有します。是非当事務所の門をたたいて下さい。