中小企業関連団体との意見交換会 in 米子

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 7月11日は、鳥取県米子市の皆生(かいけ)温泉にある皆生グランドホテル天水にて、日弁連主催の「中小企業関連団体との意見交換会 in 鳥取島根」が開催され、我が島根県弁護士会と鳥取県弁護士会も日弁連と共催しました。
 この意見交換会は、日弁連が、全国キャラバンとして昨年度から全国各地で開催しているもので、これまで熊本、青森、新潟、和歌山で開催され、今回は鳥取島根となった次第です。なお、私のお知らせ欄でも投稿してきました通り、私は、これまで開催されてきた意見交換会に、日弁連の委員として皆勤で出席してきました。
 これまでの意見交換会では、私は、主催する日弁連側の委員としての出席でしたが、基本的には当日に出席して、自分の割当部分の発表をし、その他のマイクを持ってしゃべる機会などで日弁連の考えや政策などを、開催地の出席者の方々にお伝えするという役割でした。
 しかし、今回の米子での意見交換会は、私が地元での事務局長として、会場の選定・決定に始まり、関係者各位への出席要請やホテルとの打合せ、運営する側としての役割分担の打合せなど、開催する地元での事務的な下仕事が主な仕事となり、私の役割はこれまで意見交換会と大きく変わりました。日弁連の委員として全国各地に出張し、企画にかかわるなど、いわばアイデアを出すブレーンにあたる仕事も大変ですが、地元の会場設営など現場での仕事はさらに大変でした。
 ただ、今回は、私が事務局長兼総合司会も務めておりましたので、これまでの意見交換会を踏まえて、これまでの意見交換会にはない新たな企画をプログラムに組み込むことができました。現場での仕事とアイデアを出す仕事と両方できて自分的には満足しております。

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さて、今回の意見交換会開催にあたりましては、私は出席者100名を集めようと目標を立てました。これまでの意見交換会は、60~80名くらいの出席がほとんどで、山陰はこれまでの開催地に比べて人口も少ない地域なので苦しい目標ではありましたが、気合で集めてやろうと思いました。
 地元の弁護士の他、商工会議所、商工会の経営指導員の方々、金融機関の方々、経営者協会や中小企業団体中央会などの中小企業関連団体の方々など色々お声掛けしまして、事前の出席申し込み者はちょうど100名となりました。当日はキャンセルの方が若干名おりましたので、出席者95名となりましたが、これだけたくさんの方々にお集まりいただき、ご出席いただいた方々には感謝申し上げる次第です。ありがとうございました。

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こうして無事に意見交換会当日を迎えることができました。
午後1時から始まった意見交換会は、前半はスクール形式で開会挨拶や趣旨説明、日弁連作成のDVD上映や日弁連並びに全国の弁護士会の中小企業支援の取組み状況報告をしました。いつもは全国各地の取組み紹介で私の出番があった訳です。今回は、私が総合司会でしたので、島根県弁護士会の取組み紹介は省かせていただき、その代わりに考えた企画が、地元中小企業団体の方々からの取組み紹介・発表でした。大田商工会議所の経営支援課長様から、商工会議所と地元金融機関、そして地元の弁護士として松江のI弁護士の三者が協力して、倒産寸前の企業を再生させたという事例を紹介していただきました。

その会社は、社長の放漫経営、公私混同などが原因で破産寸前の状態に陥っていました。しかしながら、その会社は特殊な技術を持ち、仕事そのものはたくさんあるので、それをこなす体制さえ整えれば、十分にキャッシュもまわって利益体質に変えることが可能でした。
 そこで、商工会議所と金融機関、弁護士が協力して、まずは、代表者を社長の長男に交代させ、社長には会社から身を引いていただきました。
 次に、社長の負の遺産がたくさんあり、その対応に追われました。その会社は社会保険料の滞納が多額に及び、その支払いのため支払手形の発行もしておりました。弁護士や金融機関が協力うして社会保険事務所に乗り込み、いかにして社会保険事務所を説得したかについて、経営支援課長様には熱く語っていただきました。
 また、ヤミ金への対応もあり、会社再建会議は、日付が変わるまで続いたこともたびたびでした。
 こうして、前社長の負遺産の処理が一段落し、これからは、会社の売上アップ、経営状態の改善に力を注ぎました。
 弁護士と新社長は、会社の存在意義という根本的なところから遡り、経営理念構築の必要性とその立て方、社長としての心構えなどについてディスカッションを繰り返しました。
 金融機関からは、工事のために必要な工事車両のリースの世話や資金繰りの管理をしたり、商工会議所とともに経営改善の進捗状況のチェックをしてもらいました。
 こうして、この会社は、経営改善に向けて確かな一歩を踏み出すことになったそうです。

 発表していただいた経営支援課長様によると、弁護士への相談は一見して敷居が高いように感じるが、今回の案件をとってみると、気軽に相談できて、頼りになるというのが実感できたそうです。また、弁護士費用も意外と安かったそうです。

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 松江のI弁護士さんにとっては、お金以上のやりがいを感じたのではないでしょうか。意見交換会の後半は、ロの字型に机を囲んで出席者100名による懇談会が3時から5時まで行われました。皆さまに遠慮なく、忌憚ない意見や質問などをしていただくものです。
 まず、今回、100名の方にお集まりいただいたこともあり、時間の都合上、出席者全ての方々にご発言していただく機会を提供することができず、ご発言いただけなかった方々には申し訳ない気持でいっぱいです。
 
 さて、懇談会では、本当に遠慮ない意見が多数飛び交い、運営側としては冷や汗ものでした(汗)。
 その中で、代表的なものとしては、ある商工会議所の経営指導員の方から、「弁護士の先生は、ほとんどが待ちの姿勢の先生だ。ちゃんと営業しているのか!!!弁護士事務所も一事業所のはずです。いつまでも殿様商売をしているんじゃなくて、自ら顧客開拓をするべきじゃないか。」とのご意見が寄せられました(一部表現が不正確ですが、要旨はこんな感じでした)。
 これに対しては、会場の弁護士の多くが冷や汗をかいたようでした。このご意見に対するコメントとして、島根県弁護士会の会長や鳥取県弁護士会の副会長、さらに若手の会員数名から発言がありました。
 コメントの概要としては、「今までは島根や鳥取は弁護士が少なく黙っていてもお客さんがく来て下さるので、それをさばくだけで手がいっぱいで、営業もする必要がなかった。しかし、ここのところ弁護士がたくさん増えてきており、それに対して弁護士の仕事の需要が増えていない。必然的に営業の必要性が生じているが、どうやって営業したらよいか悩んでいる。テレビやラジオでの宣伝もあるが、品の問題などもあり難しいところがある。いただいた仕事を誠実にこなしてそれで信頼を得て、口コミで顧客を獲得していく方法がいいのかなと感じている。」とのことでした。
私個人としての分析では、なぜ弁護士が営業をしない、あるいは下手なのかというと、まず①これまでは弁護士が少なくて黙っていても仕事が来るので営業する必要がなかった、②弁護士が営業するのは品がない、黙っていてその中でもご依頼いただいた事件をこなす奥ゆかしさが弁護士の品位だ、という類の観念から営業をしにくかった、③弁護士は高学歴のお坊ちゃまタイプが多く、また職人気質の方が多いので、営業というある意味アイデアやバイタリティのいる行為は苦手な方が多いということあたりが考えられると思います。

私は、夜の懇親会後の慰労会の席で、弁護士と営業について、「自分は弁護士業もサービス業だと思うので、営業するのは当然だと思う。自分が開業した当初は仕事もなく、資金繰りに困ったが、僅かながら手元にあった仕事、たとえば裁判所からいただいた破産管財人などの業務を誠実にこなして、裁判所からの信頼を得、徐々に経営を安定させるのと同時に、私は大阪人として商売人気質があり、営業することが苦にならなかったので、色々なところに出て行って営業活動をした。そしてその時気をつけたのは、己のゼニ儲けのためというより、世のため人のためになる仕事をする、お客様の喜びが次の仕事の原動力になるとの思いで営業に出かけた。そして、人間として正しい行動か否かを判断基準として、今この瞬間儲けたらいいのではなく、企業として永続性をもたせるようにしていかなければならないと思い、また、お客様目線の弁護士事務所という行動指針を従業員に徹底して業務に励む。それが究極的な営業であると思っている。」旨述べました。
 私自身はそんな信念、フィロソフィーを持って業務に励んでおりますし、従業員にも徹底しているつもりです(まだまだ至らぬ点もありますが)。
 盛和塾で稲盛塾長から学ばなければ、このような考えを持たなかったのかも知れません。単なる営業ではなく、人との繋がりやふれあいを大切にすることで、いい出会いがあるものです。盛和塾での学びは本当に尊いものだと感じております。

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さらにこんな意見もありました。
「世の中は法律論で決まるものではない。法律という一定のルールに従いながらも、もっと別のところで動いていく。法律論を戦わせることも大切だが、中小企業をよくするためにどうしたらいいのか、世の中を良くするためにどうしたらいいのか、という観点からものをみていくことも大切ではないか。また、国の中小企業支援のための政策がころころ変わるが、地方分権という観点から、日弁連は国家に対して政策提言していくことも必要ではないか。」という趣旨のものです。
 非常に貴重な意見です。弁護士の職域拡大という観点から中小企業対策は大切ですが、それ以上に、弁護士は中小企業を元気にするために、社会をよくするために中小企業にかかわっているのだということを忘れてはいけません。利他の心を持つことがいかに大切か感じております。

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無事に意見交換会を終え、5時半からは、同じ皆生グランドホテル天水の中で、懇親会が催されました。
 ここでも本当に活発な議論が展開され、参加した皆様でいい出会いが多数あったようです。懇親会が終了した後も、話が尽きないようで、会場では多数の方々が残っておられました。
 私はこの光景をみていて、参加した皆様にとって今回の意見交換会が本当に有意義な会となり、盛会となったことを確信しました。
 懇親会の後は、また天水の中で慰労会が催されました。慰労会に参加した方全員が感想や意見を述べる機会が与えられました。皆さんのお話をきいていて今回の意見交換会の意義を実感出来ました。
 全てが終わり、私は、宿をとっていた華水亭(天水の隣にあります)の風呂に浸かり、浴槽に注ぎ込まれるお湯の音や弓ヶ浜の波の音を聴きながら、達成感と肩の荷が下りた安堵感とを味わいました。
 事務局長として至らぬ点が多々あり、そんな私を支えてくれた島根県弁護士会ならびに鳥取県弁護士会の会員、事務員の方々、遠路はるばるお越しいただいた日弁連の先生方、日弁連内部での取りまとめなどして下さった業務一課の方々、お忙しい中無理をおして参加して下さった中小企業関連団体の方々、弁護士の我儘な要求をきいて下さった天水のスタッフの方々、今回の意見交換会に関わって下さった全ての方々に感謝申し上げる次第です。ありがとうございました。

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